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超新星残骸での宇宙線加速

- 銀河宇宙線の起源に迫る -

2004年12月9日

馬場彩(理研)、山崎了(阪大)

"A Detailed Spatial and Spectral Study of Synchrotron X-rays from Supernova Remnants with Chandra", Bamba A., 2004, Ph.D. Thesis, Kyoto University
本学位論文は2004年12月9日に第5回(2004年度)宇宙線物理学奨励賞を受賞しました。
以下の記事は、天文月報(2004年12月)に掲載された解説記事です。


要旨

宇宙線の加速機構および加速起源は、その発見以来100年の謎である。我々はX線天文衛星「チャンドラ」で超新星残骸SN 1006衝撃波面を観測し、高エネルギー電子からのシンクロトロン放射が過去の観測結果と従来の加速理論から予想されていたものよりもはるかに細くフィラメント状に集中していることを世界で初めて発見した。この観測事実を説明するためには、(i)衝撃波法線に垂直、または(ii)圧縮増幅された磁場の存在が必要である。我々の研究は、宇宙線加速理論に観測面から定量的制限を与える新たな手法として注目されている。


1. 100年の謎・宇宙線加速

宇宙線とは宇宙を飛び交う超高エネルギー粒子で、1912年にHess1)によって発見された。地球に到来する宇宙線のエネルギースペクトルは、図1に示されるように、109 eV (eV=電子ボルト、1 eV=1.6× 10-26 ジュール)以下から1020 eV以上の広いエネルギー帯にわたっておよそE-3の巾型をしているが、細かく見ると幾つかの折れ曲がりが見られる2)。スペクトルの形を人間の下半身に例え、1015.5 eV、1018.5 eVでの折れ曲がりの部分はそれぞれ、knee(ひざ)、ankle(くるぶし)と呼ばれる。宇宙線のエネルギー密度は1 ccあたりおよそ1 eVと宇宙背景放射や星光、銀河磁場、星間ガスのものと同程度であり、我々の銀河の基本構成要素の一つである。にも関わらず、「何が、どのように、どのエネルギーまで、どのくらいの量の宇宙線を加速しているのか」という基本的な問題は、発見から100年近く経った今も決着はついていない。宇宙物理学における最大級の謎の一つである。
図1: 地球へ降り注いできている宇宙線スペクトルの模式図。巾型をしており、1015.5 eV、1018.5 eVに、それぞれknee、ankleと呼ばれる折れ曲がりを持つ。

現在最も広く認知されている宇宙線加速機構は、超新星残骸(星が寿命を終える際に起こす超新星爆発の残骸)などに存在する強い衝撃波におけるdiffusive shock acceleration (DSA)機構である3),4)。DSAによると、衝撃波近傍で運動する粒子は、磁場の波の影響を受ける(図2)。磁場に揺らぎがあると磁気鏡の要領で散乱されるためだ。宇宙線粒子は散乱体である磁場と上流において正面衝突によりエネルギーを増し、下流において追突によりエネルギーを失う。しかし散乱体の速度は上流の方が下流よりも速いために、上流と下流の間を一往復すると必ずエネルギーを得る。実際には大部分の粒子(図2中の粒子B)は背景プラズマの流れにのって下流方向へ流されエネルギーを得ることはないが、ごく一部の粒子(図2中のA)だけが衝撃波の上流と下流を何度も往復し加速される。他の加速理論にはないDSAの最大の長所の一つは、観測されている宇宙線のスペクトルの性質を大まかに説明できることである。特にkneeエネルギーまでの宇宙線は、超新星残骸衝撃波付近で作られていると信じられている。
図2: 宇宙線粒子加速機構 Diffusive shock acceleration (DSA)の概要(本文参照)。

DSA機構による宇宙線加速を定量的に知るためには、加速現場の磁場構造や乱流度が重要なパラメータになる。しかし、観測的に磁場の詳細構造はほとんど分かっていない。被加速粒子の拡散過程、加速プロセスへの注入過程の理論的な理解も必要である。これらが観測的にも理論的にも分かっていない現在、超新星残骸で加速し得る宇宙線の最高エネルギーやエネルギー収支も解決されていない問題である。言いかえれば、宇宙線全体に対する超新星残骸の寄与は現段階では全く分かっていないのだ。

2. 宇宙線加速源探査と硬X線超新星残骸観測

宇宙線加速源はどのようにして探査できるのだろうか? 星間空間には1-10 μG程度の磁場が存在し、荷電粒子である宇宙線はジャイロ運動をする。kneeエネルギーをもつ荷電粒子の場合ジャイロ半径は数pc程度(pc=パーセク、1 pc=3.3光年)になるため、宇宙線は星間空間を直進できず、地上では等方的に降り注ぐ事になる。従って地球にやって来る宇宙線から加速源の情報を直接引き出すことは困難で、宇宙線加速源を調べるためには他の手法が必要となる。最良の方法の一つは硬X線を用いた探査方法である。加速源付近に留まっている加速された高エネルギー電子は磁場中でシンクロトロン放射を行う。典型的放射帯hνsynchは磁場Bと電子エネルギーEeを用いて


と表せる。星間磁場中を運動するkneeエネルギー電子の場合、放射帯域は硬X線(103-104 eV)になり、この帯域でシンクロトロン放射を探すことで我々は宇宙線加速源を直接調べられる。実際日本のX線天文衛星「あすか」により超新星残骸SN 1006の北東部および南西部からシンクロトロン放射が発見され5)、超新星残骸衝撃波が宇宙線加速現場であることが明らかになった。図3左は「あすか」によるSN 1006の硬X線画像である。超新星残骸の内側ではなく、衝撃波部分が硬X線を放射しているのが分かる。現在では複数の超新星残骸の衝撃波付近から加速電子の存在を表すシンクロトロン硬X線が発見され、超新星残骸の衝撃波で宇宙線が加速されていると広く認知されている。

次に我々が行うべきは、1節で述べたような定量的問題の解決だ。我々は
(1) 加速電子の空間分布を示すと思われる、硬X線の空間分布、
(いま興味のある衝撃波近傍の狭い領域では、磁場は衝撃波面前後での不連続性をのぞいて空間変化は無視できると考えられる。従って、硬X線の空間分布は最大のエネルギーを持つ電子の空間分布を反映していると近似できる。)
(2) 電子の最高エネルギーや磁場強度を反映する、加速電子からのシンクロトロン放射スペクトル、
(3) 宇宙線の加速時間の情報を与える、超新星残骸の年齢、
という3つの観測的情報を選んだ。特に(1)は宇宙線加速に関する多くの物理量を反映することが期待されるが、 これまで空間依存性についてほとんど議論されていなかった。これは過去の観測機器では空間分解能が足りず、粒子分布を見るに至らなかったためである。このような議論は、およそ0.5秒角という、「あすか」のおよそ100倍、第一級光学望遠鏡並の空間分解能を持つ「チャンドラ」衛星の登場によりはじめて可能になった。我々は、「チャンドラ」で観測したSN 1006のデータから(1)と(2)を求め、簡単なDSAの仮定に基づいて種々の物理量を概算した。シンクロトロンX線を放射する超新星残骸についてのこのような解析は世界で初めての試みである。

(3)に関して、超新星残骸の正確な年齢はどうやって調べるのだろう? 実は多くの超新星の記録が、古今東西の古文書や日記などに残されている。SN 1006とは西暦1006年に爆発した超新星の残骸である事を示す名前だ。当時の記録は中国やヨーロッパなど20ヶ国以上に残っており、人類史上最も明るかった超新星だと言われている。日本でも藤原定家が国宝「明月記」に「有大客星如蛍惑(大客星有リ蛍惑ノ如シ)」と書き残している。蛍惑は火星を指し、南天の低い位置で赤く輝いた事が想像できる6)
図3: 超新星残骸SN 1006の硬X線によるイメージ。左が「あすか」、右が「チャンドラ」によるもの。

3.「チャンドラ」によるSN 1006衝撃波面の詳細観測

図3右は「チャンドラ」によるSN 1006北東部の硬X線イメージである7)。「チャンドラ」の優れた空間分解能のおかげで、「あすか」では分離できなかったきわめて細いフィラメント状構造が超新星残骸の最前面に走っている様子が初めて見えた。このフィラメント構造の断面図が図4である。「チャンドラ」の空間分解能ぎりぎりのシャープな構造を見ることが出来る。我々はこれらの断面図を指数関数でフィッティングし、フィラメントの典型的幅を上流側(ピークの外側: wu)で0.04 pc、下流側(内側: wd)で0.2 pcと求めた7)。これはSN 1006半径の1%程度の長さである。また、図5はフィラメント部分のスペクトルである。輝線構造がまったく見られず、硬X線帯域まで伸びているのが良く分かる。フィラメントからの放射は超新星残骸によく見られる光学的に薄い熱的プラズマ放射ではなく、確かに「あすか」の捉えたシンクロトロン放射であったことが分かる。DSAによって加速された電子のスペクトルは巾型になるが、超新星残骸の年齢やシンクロトロン放射によるエネルギー損失等でエネルギー上限値Ee,maxを持つ。したがって、シンクロトロン放射のスペクトルにカットオフ振動数 νrollが現れる。νrollは Ee,maxと磁場Bを用いて


と表される8)。我々は電波から硬X線までの広帯域スペクトルを解析し、hνroll = 1.1 × 103 eVを得た7)

 
図4: フィラメントの断面図。中央イメージの四角で表された各フィラメント領域の南北(縦)方向の断面図が周囲のイメージ。
 
図5: 「チャンドラ」によるフィラメントのスペクトル。

我々は同様の手法を、歴史的に爆発の記録の残っている(=年齢のはっきり分かる)超新星残骸4天体にも応用した。図6はCas A (SN 1680)、Kepler (SN 1604)、Tycho (SN 1572)、RCW 86 (SN 184)の「チャンドラ」による硬X線イメージである9)。いずれの超新星残骸においても、フィラメント状になった高エネルギー電子からのシンクロトロン放射を見ることができ、細いフィラメントは比較的若い超新星残骸での宇宙線加速に共通の性質であることがわかる。
図6: 歴史的超新星残骸(SN 1006, Cas A, Kepler, Tycho, RCW 86)のチャンドラによる硬X線イメージ。SN 1006と同様、衝撃波面近傍の狭い領域にシンクロトロンX線が局在している様子が見える。

4. 予想以上に細かったフィラメント

我々は、シンクロトロンX線のフィラメント状構造の細さに驚いた。なぜなら、それは従来のDSAパラメータから期待されるものよりはるかに細く、標準シナリオを変更しなければならない可能性があったからである。ここでは、このことを少し専門的にはなるが簡潔に述べてみたいと思う。

DSAによれば、被加速粒子は磁場によって散乱されて拡散運動を行ない、背景プラズマの流れ(上流から下流への移流運動)に逆らって上流方向へさかのぼることができる。特に最高エネルギーEe,maxをもつ電子は、衝撃波面から拡散運動と移流運動のつり合う距離Δ R ∼ K/usくらいまで存在する3)。ここで、us = 2890 km s-1は衝撃波速度10)、Kは電子の拡散係数で、被加速電子の平均自由行程 lmfpを用いて K = (1/3) lmfpcと表される。lmfpは非常に大雑把に電子のジャイロ半径rg = Ee,max/eB 程度で、不定係数 ξ を用いて lmfp= ξ rgと書くのが慣習となっている。すると、(2)式を用いてEe,maxを消去して次を得る。


ここで、ξは磁場揺らぎの度合を表す無次元数で、ξが小さいということは磁場の揺らぎは大きいことを意味する。(3)式を端的に述べると、シンクロトロンX線を放射する電子の空間分布はξに比例し、磁場とともに減少する。最高エネルギー決定のモデルや幾何学的効果などにより係数の不定性が多少あるが、大雑把には観測されたシンクロトロン硬X線の空間分布wu、wdは ΔR できまるとしてよい。以上のことを実際にSN 1006の観測結果にあてはめてみよう。観測結果(wu ∼ 0.04 pc、wd ∼ 0.2 pc)と(3)式を比較すると、
(i) ξ < 1
(ii) B ≫ (典型的な星間磁場) ∼ 1-10 μG
のいずれか、もしくはその両方が必要であることがわかる。「チャンドラ」以前では、ξ ∼ 10-100、B ∼ 数 μG 程度で主にスペクトル等の観測的性質を説明できると思われていたが、これでは観測された硬X線の空間構造を説明できないことが明らかになった。

(i)は lmfp < rgを意味するので一見すると非物理的 と思われるかもしれない。しかし、このことは斜め衝撃波を考えれば解決される11)。粒子は磁場に平行な方向に伝播し、その方向の粒子の平均自由行程はrgより大きくなければならないが、観測量wu、wdは衝撃波面に垂直な面上に射影された被加速電子の存在範囲と考えられ、その面内の平均自由行程がrgより小さくなっているためである。

5. 何故フィラメントは細い? - SN 1006の観測結果の理論的解釈をめぐる論争 -

現在、我々の観測したシンクロトロン硬X線の空間構造の理論的解釈をめぐり、大きく2つのシナリオにわかれて論争になっており、注目を集めている。なぜなら、一方は宇宙線加速は比較的穏やかであることを、他方では加速は非常に効率的であるということを結論し、2つのシナリオで描かれる宇宙線加速の描像が全く異なってしまうからである。

我々は、衝撃波近傍でも磁場の値は星間磁場程度であると考え、(i)の立場に基づき、フィラメントの細さに対する理論的解釈を世界で初めて与えた7),9),12)。図7-Aのように垂直衝撃波(磁場が衝撃波面の法線に垂直)に近ければ衝撃波上流の磁場の値が星間磁場(∼ 10 μG)程度で wu、wdの観測値を説明可能である。垂直衝撃波においてはDSA機構に注入される粒子は平行衝撃波のときよりも非効率的で、生成される宇宙線粒子の全エネルギーは超新星爆発のイジェクタの運動エネルギーの1%程度である13)。これは従来の標準的なシナリオに基づく理論的解釈である。

一方で、(ii)の立場の下、磁場が100 μG程度で衝撃波面の法線に平行(図7-B)であるとして wu、wdの観測値を説明するモデルもある13),14)。磁場が大きいと粒子の平均自由行程は小さいので被加速粒子が衝撃波面を往復する回数が増えて加速効率があがる。また平行衝撃波のときには加速過程への粒子の注入も効率的におこり15)、超新星爆発のイジェクタの運動エネルギーの10%以上が生成される宇宙線のエネルギーに変換される13)

図7: 衝撃波面近傍の磁場の配位の概念図。矢印は磁場をあらわす。衝撃波面の法線ベクトルと上流磁場の方向が一致しない場合(A)がななめ衝撃波、一致する場合(B)が平行衝撃波である。


(ii)のような場合では、宇宙線の作る圧力(運動量フラックス)は背景プラズマの熱的圧力に対して無視できなくなり、衝撃波の構造が変成を受ける4)(宇宙線の反作用効果、又は非線型効果と呼ばれる)。実際に地球近傍でも太陽フレア起源の惑星間空間衝撃波において、そのような宇宙線変成衝撃波がいくつか観測されていることもあり16),17)、従来の比較的穏やかな(被加速粒子がテスト粒子近似できる)加速のシナリオに代わって、現在では世界の標準モデルになりつつある。このような宇宙線の非線型効果が効くほど加速が効率的であるためには、磁場の値が100 μGと星間空間の典型的な値よりも10-100倍大きいことが必要である13)。このような状況も、加速された陽子自身が背景プラズマとの二流体不安定により磁場が増幅され達成されると考えられている18)。さらに、加速できる陽子の最高エネルギーは磁場に比例し、(i)の場合ではおよそ1014 eV程度、(ii)ではおよそ1015 eV程度になると期待できる。つまり(ii)の非線型粒子加速の場合にはkneeエネルギー(1015.5 eV)まで超新星残骸でのDSAで説明可能ということになり、期待をもって受け入れられている大きな理由の一つになっていると思われる。

6. 今後の展望 - ASTRO-E IIにかける期待 -

我々は初めて衝撃波粒子加速の現場を詳細にかいま見た。「チャンドラ」によるSN 1006の観測は、期待されていたよりもはるかに狭い領域にシンクロトロン硬X線が集中しているのを発見した。シンクロトロン硬X線の空間分布を議論するということは宇宙線加速機構を調べる際にいままでにない新たなアプローチである。これにより、DSAに現れる拡散係数などの物理量を直接的に議論することが可能になり、宇宙線加速理論に新たな問題を提起することになった。我々は、得られた観測結果に対して(i)の立場で無矛盾な解釈を与えたが7),9),12)、今のところ(i)、(ii)両方の立場で解釈が可能である。

今後(i)、(ii)のうちいずれが正しいか決着をつけるために、以下のような観測が重要になると思われる。電波偏光の詳細観測によって磁場の配位の情報が得られればモデルに制限がつくことが期待される。エネルギー帯域1012 eVのガンマ線の放射は、(i)では高エネルギー電子による宇宙背景放射光子の逆コンプトン放射(leptonicプロセス)が、(ii)では高エネルギー陽子と星間物質の反応によって生成された π0粒子の崩壊による放射(hadronicプロセス)がそれぞれ卓越する13)。これらは109 eVから1012 eVにわたる放射スペクトルを調べることで識別可能である。SN 1006に対する1012 eVのガンマ線の観測は世界の複数のグループにより行われているが、各々の結果が矛盾しており今後の確認が待たれる。また、hadronic プロセスのときに放射されるニュートリノの観測結果も重要になると思われる。

観測結果を現象論的に説明したあと、微視的な物理過程から理論的に説明することは必須の課題であるが、そのためにはエネルギー注入効率や拡散係数の磁場依存性、磁場の増幅課程など、理論的に解決すべき問題が山積している。

本稿で我々は主に超新星残骸衝撃波面での電子加速について議論してきた。しかし、宇宙線の主成分である陽子については今までの研究はまだ想像の域を出ていない。そこで我々は、2005年に打ち上げられる日本の5番目のX線天文衛星ASTRO-E II を用いて陽子の加速効率の直接測定を計画している。毎秒1000 km s-1以上の速度をもつ超新星残骸衝撃波の運動エネルギーは衝撃波下流で熱エネルギーに転化されるが、衝撃波接続条件19)を単に当てはめると下流の温度は kT ∼ 2×103 eV以上になる筈である。ところが実際には超新星残骸の電子温度は103 eV以下であることが一般的であり、SN 1006の場合も200 eV程度しかなく、陽子-電子平衡に達していないとしてもこの低い温度はエネルギーが熱的な成分から何か他の成分へと移動したことを示唆する。可能性として考えられるのは、宇宙線成分へのエネルギーの移動であるが、まだ証拠は掴めていない。ASTRO-E II には、世界で初めて超新星残骸のような広がった天体でも超高エネルギー分解能で観測できるX-ray spectrometer (XRS)が搭載されている。XRSを用いて詳細な熱的プラズマの状態を調べ熱的プラズマへのエネルギー注入を求めることで、おつりである陽子への注入エネルギーを直接測定できれば、超新星残骸の衝撃波におけるDSAのシナリオに観測的に決着がつくと期待している。

謝辞

本稿は筆者の一人(馬場)が京都大学在学時にまとめた博士論文の一部を元に作成したものです。長年に渡り指導して頂いた小山勝二教授を始めとする京都大学宇宙線研究室・天体核研究室の皆様、寺沢敏夫教授、星野真弘教授、吉田龍生助教授に感謝致します。また、本稿に関して貴重なコメントを頂いた牧島一夫教授、高原文郎教授、高橋弘毅氏、寺田幸功氏に感謝致します。最後に、本研究を遂行するにあたり、山崎は日本学術振興会から特別研究員PDとして援助を受けていることに感謝致します。

参考文献

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連絡先:
理研 馬場彩(ばんば あや)