ASCA banner
X線グループホーム Astro-E あすか ぎんが サイトマップ English Version
Satellite banner
トップ
あすかトップ
概要
あすかの成果
出来事
チーム紹介
観測プロポーザル
観測計画・運用
データ処理
データ解析
データアーカイブ
ソースカタログ
出版目録

X線天文衛星「あすか」概要

目的

宇宙の中でも高温でかつ激しい活動領域からは、X線を中心に多量のエネルギー放射が行われています。中性子星やブラックホールに極めて近い領域、あるいは超新星残骸、銀河や銀河団など、「激しく活動している」宇宙の本質を知るためにX線観測が欠かせません。

X線は、0.1から100オングストローム(1オングストロームは1ミクロンの1万分の1)程度の波長を持つ、電磁波の一種です。光子1個あたりの持つエネルギーでいうと0.1から100キロ電子ボルト程度になります。宇宙からやって来る宇宙X線は、地球をとりまく大気のために吸収されたり散乱されたりするため、地上で観測する事ができません。そのためにロケットや人工衛星を使って大気圏外で観測することが必要です。

「あすか」衛星は、宇宙からのX線の写真をとると同時に、X線光子一つ一つのエネルギー(波長)を高い精度で測定する事ができます。普通の光と同様にX線にも波長の違い、つまり「色」があります。「あすか」衛星は、波長の長い「赤」から波長の短い「青い」X線までの色鮮やかなカラーの動画を撮ることができます。特に、世界ではじめて、宇宙の奥深くまでみることを可能にする「青い」X線(2から10 キロ電子ボルト)で宇宙X線源を撮像できる能力を実現しました。

科学機器

「あすか」を特徴づけるのは、「多重薄膜鏡による、軽量でかつ大面積のX線鏡」と「高い波長(エネルギー)分解能を持つ焦点面検出器」です。「あすか」は4台のX線望遠鏡(XRT)を用い、その焦点面に2種類の異なったタイプの検出器、X線CCDカメラ(SIS)と撮像型蛍光比例計数管(GIS)が焦点面に配置されています。これら2つの検出器は、X線分光と撮像を相補的に行う撮像センサです。「あすか」の4つのX線望遠鏡のうち2つはSISと組み合わされ、他の2つはGISと組み合わされています。SISとGISはいつも同じ方向を向いているので、この二種類の検出器からのデータは組み合わせて使うことができます。

「あすか」衛星の観測機器は、次に示すように国内外の様々な機関が密接に協 力して開発が行われました。

  • X線望遠鏡(XRT): NASAゴダード宇宙飛行センター、名古屋大学、宇宙科学研究所
  • X線CCDカメラ(SIS, Solid-State Imaging Spectrometer):マサチューセッツ工科大学(MIT)、大阪大学、宇宙科学研究所、ペンシルヴァニア州立大学。
  • 撮像型蛍光比例計数管(GIS, Gas Imaging Spectrometer):東京大学、宇宙科学研究所。

1. X線望遠鏡(XRT)

「あすか」のX線望遠鏡は、0.5から12キロ電子ボルトまでの広いエネルギー範囲のX線を効率よく集光します。これまでのX線衛星では、搭載されたX線望遠鏡の撮像能力がほぼ4キロ電子ボルト以下のX線に限られていました。従って、多くの天体からはじめて高いエネルギーのX線像が得られることになります。また、「あすか」によって初めて画像を得ることができるようになった4キロ電子ボルト以上のX線は非常に透過力が強いのが特徴です。これまでは厚いガスに遮られて観測することができなかった天体も、「あすか」を使えば精密に観測することができると期待されます。

このX線望遠鏡の元となる技術は、NASAのゴダード飛行センターのSerlemitsos博士によって考案されたもので、ゴダード飛行センターと名古屋大学の研究者を中心とするグループによって、「あすか」ではじめて実現されました。このX線望遠鏡には非常に薄いアルミニウムの板に金を精密にコーティングした反射鏡を沢山集めたものが使われています。この「多重薄板鏡」は、「あすか」の特徴である、「高いエネルギーのX線を観測する能力」のカギを握る技術であり、将来の宇宙X線光学技術の方向を決めるものです。

2. X線CCDカメラ (SIS)

「あすか」のX線CCDカメラは、一つ一つのX線光子のエネルギーをはかる事ができます。このような「フォトン・モード」でX線CCDを動作させて天体観測を行う事ができるようになったのは「あすか」がはじめてです。X線CCDを用いることで、SIS検出器は5.9キロ電子ボルトのX線に対して約2%(FWHM)というすぐれたエネルギー分解能(波長分解能)を持ちます。この性能を引きだすためには、検出器を−60℃に搭載されたX線CCDが大きな成功をおさめたことで、CCDはX線衛星の検出器として欠かせないものになりました。

3. 撮像型蛍光比例計数管(GIS)

SISに比べて、広い視野を一度に観測するために搭載された撮像型蛍光比例係数管(GIS)は、「てんま」衛星に搭載された装置をもとにしてさらに改良を加えたものです。この装置は、銀河団などの広がった天体を観測するのに欠かせない大きな検出面積を持つのが特徴です。特に10キロ電子ボルトの高いエネルギーでも十分な検出能力をもちます。X線CCDにはおよばないまでも、比例計数管としては最高レベルのエネルギー分解能をもち、さらにパルサー観測には欠かせないすぐれた時間分解能を持ちます。このようにGISはSISと相補的な役割を果たします。GIS検出器は超薄型のベリリウム窓(厚さ10ミクロン)と8キロボルトという超高電圧を衛星環境で実現するという技術的難題を克服することによって開発に成功したものです。


JAXA 宇宙科学研究本部 高エネルギー天文学研究系

Last Modified: Tuesday, 20-Nov-2001 22:36:30 JST